大阪で働く実業家中野祐治(ゆう)のブログ☆

中野祐治です。大阪・東京で経営コンサルをしています。日々の学びをアウトプットしていけたらと思います。

【読書備忘録】女心について考えてみた〜江國香織さんの『きらきらひかる』を読んで〜

こんばんは、中野祐治(ゆう)です。

 

"きらきらひかる"のレビューも、第3回目の今日で最終回だ。

 

最善を求める男心

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この物語の中でも、最も好きな場面を紹介しよう。

 

『誠実、ということが、睦月にはおそろしく大事なことらしい。誠実であるためなら、彼はどんな犠牲もいとわない。

たとえそれが親族会議のようにやっかいな犠牲でも、だ。おかげで私は睦月のぶんまでどんどん不誠実になっていく。』

 

これは睦月が、ホモで恋人もいることを、笑子の両親に告白した時の、笑子の心の描写だ。

 

なぜ気に入っているかというと、睦月と同じ状況なら僕も同じことをするだろう、と共感したからだ。


作者は男心もよく理解している。

 

『このままでいたい。』

 

睦月も笑子も望むのはそれだけだ。


でも、睦月は家族や友人に対して誠実でありたいとも望む。

もちろんそれは、笑子を思ってのことでもあるのだが、結果として彼女を苦しめてしまう。

 

まさに『傷つき傷つけられながらも、愛することを止められない。』二人に、こんなにも共感してしまうのは、少なからず過去の恋愛と重なるところがあるからだろう。

 

複雑なようで真っ直ぐな女心

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これとは対照的な一文が、笑子と紺のセリフにある。

 

『私たち、嘘をつくことなんて何とも思ってないもの』

 

『このまま』でいられるなら、嘘をつくことなんて何ともないというのだ。

 

決して女は嘘つきとかそんなことを言いたいわけではない。

 

でも、なんとも表現しにくいのだが、僕はこのセリフに、すごく女心を感じるのだ。

 

行動や言動からはわからなかったりするが、女心とはすごく純粋で、真っ直ぐなものじゃないかと思う。

 

純粋な愛に出会える本

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愛し合うが故に、その愛でお互いに傷つけ合ってしまう睦月と笑子。
胸を締め付けられる場面も多いが、こんなにも純粋な"愛"を感じられる本はなかなかないと思う。

 

興味を持たれた方は、ぜひ読んでみて欲しい。

 

それではまた。

 

 本日の格言 

素直にいえば、恋をしたり信じあったりするのは無謀なことだと思います。どう考えたって野蛮です。それでもそれをやってしまう、たくさんの向こう見ずな人々に、この本を読んでいただけたらうれしいです。

江國香織(あとがきより)〜

 

 

きらきらひかる (新潮文庫)

きらきらひかる (新潮文庫)